きっと、君を離さない
「春香は!」
スナックの中には客は誰もいなくて閑散としていた。
「大石さん、こちらです」
奥から顔を覗かせた江梨子さんが俺を中に招き入れた。
心臓がバクバクする。
「店は、今日は閉めました」
「・・・は、春香は」
「大丈夫です。今は、眠っているだけです」
「そう・・・ですか・・・」
ホッと肩を下ろす。
裏の更衣室のようなスペースに行くと、そこにはソファに横たえられた春香が眠っていた。
穏やかに寝息を立てている。
「・・・ゆう・・・と・・・」
春香の口から俺の名が。
「ああやって、呼ぶんです。ですから、申し訳なかったんですが呼ばせていただきました・・・」
「ありがとうございます」