きっと、君を離さない



「春香は!」




スナックの中には客は誰もいなくて閑散としていた。




「大石さん、こちらです」




奥から顔を覗かせた江梨子さんが俺を中に招き入れた。
心臓がバクバクする。




「店は、今日は閉めました」

「・・・は、春香は」

「大丈夫です。今は、眠っているだけです」

「そう・・・ですか・・・」




ホッと肩を下ろす。
裏の更衣室のようなスペースに行くと、そこにはソファに横たえられた春香が眠っていた。
穏やかに寝息を立てている。





「・・・ゆう・・・と・・・」




春香の口から俺の名が。





「ああやって、呼ぶんです。ですから、申し訳なかったんですが呼ばせていただきました・・・」

「ありがとうございます」




< 309 / 390 >

この作品をシェア

pagetop