きっと、君を離さない
俺は、春香の頭を撫でながらにっこりとほほ笑む。
「スナックの仕事もさ・・・、その仕事自体を否定してるわけじゃないんだ」
「え・・・?」
「需要があるから、そう言う仕事があるんだろうし。俺だって付き合いで行くことだってあるんだから」
「・・・」
「でもさ、そこで働く春香は、本当の春香でいられてる?春香の心、無理してない?」
生きてくために、確かにお金は必要だ。
それでも、本当に大切なのは・・・。
「自分にウソをつかず、春香が春香のままでいられる。そうやって“心”が満たされてないと、生きてるっていえないんじゃないかな?」
「こころ・・・」
「俺には聞こえるよ、春香の心の声が。寂しいって、苦しいって、助けてって・・・違う?」
せめて、俺の前だけでも無理しないで。
「スナックで働く春香が、無理してないウソのない春香だったら、ここまで辞めてなんて言わない。確かに、嫌だけどさ。でも、春香を見てて、そうじゃないって思うから」
「・・・うん・・・」