きっと、君を離さない
中途半端に終わらせていた料理の続きを始める。
鍋に具材を突っ込み、火をつけようとしたその時・・・。
「帰って!もう来ないでって言ったでしょ!」
玄関から、春香の叫び声が聞こえた。
ただならぬその声に、火をつけようとしていた手を止める。
誰だ?
俺は、眉を顰め玄関を覗き込む。
玄関に立つ春香の向こうに少し隠れているけど、訪問者は男みたいだ。
それも、白髪交じりの年配の男。
いったい、誰だ?
「金がなくなったんだから、仕方ないだろー?」
「あなたに渡すお金なんて・・・もうありませんから!」
「ないなら作ってでも持ってきてくれよ。困ってんだよ、なあ?」
「出てって!」
ただならぬ会話に、つい飛び出してしまう。
「ちょっと、誰なんですか!」