きっと、君を離さない



「なんだ、もう金ずるの男すでに連れ込んでんじゃねぇか」




俺の姿を見るなり、そう言い放つその男に無性に腹が立った。
ジロジロと品定めするような視線。




「なんなんですか、あなたは」

「悠斗、大丈夫だから奥に行ってて・・・」




春香が、俺を見てそう言う。
大丈夫って、全然大丈夫な顔してない。


不安に揺れる瞳。
恐怖に怯える身体。






「俺はな、これの父親だよ」

「やめて!!!」




春香の声が重なる。
それでも、俺の耳に届いたその言葉。


父親・・・?




なんだよ、それ。





今の言葉、父親の言葉だって言うのか?





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