きっと、君を離さない



悠斗は荷物を持つと玄関の方、私の方へ向かって歩いてくる。
私は、なにも言えず立ちすくむ。



「え・・・?」



悠斗は、私の腕を掴むと強引に引っ張っていこうとする。
玄関まで私を引っ張ると、自分の靴を履き始める。



「悠斗・・・?」




私の問いかけには、全く答えず、視線も向けてはくれない。
自分が履き終わると、再び私の腕を掴み歩き出そうとする。




「ま、待って・・・」




戸惑いながら慌ててブーツを履くと、部屋を出る。
玄関に置いてあった鍵を持って部屋の鍵を閉める。




その様子を、悠斗は冷たい瞳で見ていた。





ねぇ、どうしちゃったの?
あなたは誰?




笑顔が絶えなくて、お調子者で、うざったいくらいお人よしの悠斗は、何処?







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