きっと、君を離さない



「健太のところに連れて行って」





そう言った悠斗を連れ、電車に乗っている。
あの町に、戻る。



あの町に、健太のお墓もある。
健太がいなくなって、一度も言ったことのない場所。

ずっと逃げいていたから。


健太が死んだってこと、信じたくなくて逃げてた。



「悠斗に、少し似てるんだ・・・。雰囲気が」

「そうなの?そういえば、江梨子さんもそんな事言ってた」

「ウソ。そっか・・・。江梨子さんから見てもそう感じたんだ」




私だけがそう思ったわけじゃないんだ。





「健太もね、一人ぼっちで暗闇にいた私を明るい場所に連れ出してくれたの」

「うん」

「すべてがキラキラしてた。健太がいたら、なにもいらないって思った・・・」




私のすべてだった。
ずっと続くと思ってた。






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