きっと、君を離さない



それでも、どうしてもという悠斗の迫力に押され、私は春香に連れられ草太さんとの約束の場所まで来ていた。




「私、近くのカフェにいるから。終わったら教えてね」

「え、いてくれないの・・・?」

「私がいなくても大丈夫だよ。頑張って」




優しくそう言われ、私は頷いた。
春香に頼りっきりはダメだ。

自分で、頑張るんだ。





「・・・理恵?」





聞こえてきたその声。
すぐに分かった。
忘れるわけなかった。




「草太さん・・・」





大好きだった声。
大好きだった彼。


あの頃より大人になった彼は、それでもあまり変わってはいなかった。





「久しぶり・・・」

「お久しぶりです・・・」




10年も前の思いなのに。
一瞬前の事のように蘇る胸の鼓動。




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