きっと、君を離さない
悠斗の左手を掴みそこに濡れたハンカチを巻く。
気休めだけど、私のせいで悪化したとかなったら気分悪いし。
「あ、春香ちゃんのハンカチ、ごめん・・・。ありがとう」
「いえ。お見苦しいところをお見せしてすみませんでした」
笑いもせずそう言うと頭を下げ理恵のもとに。
どうかしてた。
初対面の人の前で取り乱すなんて。
初めてだ。
あんなに気分が動転するなんて。
どうしちゃったんだろう。
「あ、春香。どうしたの?大丈夫?」
「・・・うん。ごめん」
春香は、ちょうど休憩時間だった草太と話をしていた。
いい感じにも見える。
私がいなくても、平気じゃないか。
「理恵、ごめん。私先帰るね」
「え?どうしたの?調子悪い?」
「ううん。用思い出したから。理恵は最後まで見ていきなよ」
「うーん・・・。いいの?」