きっと、君を離さない
健太。
私の大好きだった人。
世界で一番、信じられた人。
私をどん底の世界から救い出してくれた人。
辛い過去を忘れさせてくれた。
いつも笑顔で、優しい彼は私の自慢だった。
私の全てだった。
何も知らなかった私に、すべてを教えてくれた。
「春香はさ、運命って信じる?」
「信じない」
「俺は、信じるよ。春香と出会ったこと、俺は運命だと思ってる」
健太はいつも恥ずかしげもなく真っ直ぐに思いを伝えてくれた。
私はいつも照れくさくて、ごまかしてばかりいた。
健太のことは信じていたけど、自分のことは信じられなかったんだ。
永遠とか、運命とか、よくわからなかった。
私には、未来があるのか見えなかったんだ。
そんな私に、健太はいつだって優しかった。
私に愛を、教えてくれた。