きっと、君を離さない
「うん。私は一人で帰れるから。今日、バイトあるし」
「そっか。ごめんね、気を付けて」
「うん。じゃあまた明日」
「明日ー」
「春香ちゃん、よかったらまた来てくれな」
「はい、ありがとうございます。理恵の事、お願いします」
「ほい、任された」
草太さんとも挨拶を交わし体育館を後にする。
早くここから抜け出そう。
こんなキラキラした場所から。
元々、私には不釣り合いだったんだ。
「春香ちゃん!」
後ろから追いかけてくる声。
また、彼だ。
どうして私を気にするんだろう。
「もう帰るの?」
「はい」
「そっか、体調悪そうだったもんね」
「別に、体調が悪いわけじゃ・・・」
「送るよ。俺、どうせこの手首じゃ練習出れないし」
悠斗の手首にはさっき私が撒いたハンカチがまだ巻かれていた。
それを反対の手で抑えている。