きっと、君を離さない
「・・・結構です。一人で帰れますから」
「でも、危ないから」
「平気ですから」
あなたと一緒にいることが、不快なんだ。
それをわかってほしい。
「結構ですと、言ってるじゃないですか」
「うん。言われてるけど、女の子を一人で帰らせられないだろ。駅まででいいから送らせてよ」
「・・・・・・」
この人は、譲る気はないらしい。
イライラする気持ちを押さえながら早歩きで歩く。
それに満足したのか悠斗はにっこり笑って私について歩いた。
「気が強いんだね、理恵とは正反対だ」
「・・・だからなんですか。可愛げがないとか言いたいんですか?」
「別に、そんなことは言ってないよ」
「あなたは、お気楽そうでいいですね」
「は?お気楽?」
「いろんなことに恵まれてて、当然のように幸せで。それが周りも同じように当たり前にあると思ってる。あなた見てるとそう思えて腹が立つんです」
キラキラした笑顔が。
汚れを知らないその、天真爛漫な笑顔が。
大っ嫌い。