きっと、君を離さない



「・・・結構です。一人で帰れますから」

「でも、危ないから」

「平気ですから」




あなたと一緒にいることが、不快なんだ。
それをわかってほしい。



「結構ですと、言ってるじゃないですか」

「うん。言われてるけど、女の子を一人で帰らせられないだろ。駅まででいいから送らせてよ」

「・・・・・・」




この人は、譲る気はないらしい。
イライラする気持ちを押さえながら早歩きで歩く。
それに満足したのか悠斗はにっこり笑って私について歩いた。




「気が強いんだね、理恵とは正反対だ」

「・・・だからなんですか。可愛げがないとか言いたいんですか?」

「別に、そんなことは言ってないよ」

「あなたは、お気楽そうでいいですね」

「は?お気楽?」

「いろんなことに恵まれてて、当然のように幸せで。それが周りも同じように当たり前にあると思ってる。あなた見てるとそう思えて腹が立つんです」




キラキラした笑顔が。
汚れを知らないその、天真爛漫な笑顔が。


大っ嫌い。





< 41 / 390 >

この作品をシェア

pagetop