きっと、君を離さない


開店時間が過ぎしばらくしたら少しずつお客さんも来始めた。
賑わい始めるフロア。

その賑わいを片隅で聞きながら私は荒いものに勤しむ。
全てを忘れ去るように。



お客の前に出ることもあるから、こぎれいな格好をして化粧もしている。
その化粧で感情もすべて隠して。





「いらっしゃーい」





また新たな客が来たらしい。
毎晩毎晩、たくさんの男がやってくるんだ。





「ちょっと、おじさん。飲みすぎだって」

「酒は飲んでも飲まれるな!おりゃあ、酔ってねぇぞ?」

「どこが!」

「あらあら、いらっしゃい。ここどうぞ?」




どこかでもうひっかけて来たのか酔っ払いの客みたいだ。
江梨子さんが優しく席に案内する。


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