きっと、君を離さない
「あら、こちらのお兄さんはずいぶん若そうね」
「ああ、はい。21歳です」
「21?まぁ、ピチピチじゃないの。こんなスナックでいいわけ?」
「え、あ、俺は、ただの付き添いなので」
ずいぶんと若い客らしい。
江梨子さんの声のトーンも少しだけあがってる。
「社会勉強にな!連れてきてやったんだよ!な!悠斗!」
「・・・もう、おじさん。程々にしなよ。おばさんに怒られるんだからな」
悠斗・・・?
まさか。
そんな名前いくらでもいるか。
私は気にせず仕事を続けた。
「春ちゃーん。氷お願い!」
「はあい」
江梨子さんに頼まれ、氷をバケツに入れ運んでいく。
それを空になった容器に移し替える。
「あれ?君・・・」
声に顔をあげると、それは間違いなくあのバスケの悠斗だった。
私は顔色を変えず会釈をするとそそくさと裏に戻る。