きっと、君を離さない
「可愛いでしょう。裏の仕事を任せてるんだけどね、この店で一番若いのよ」
「そうなんですか」
「お兄さんはあの子の方が歳も近くて離しやすいだろうけど、私で堪忍ね」
「いえ、そんな・・・」
どうして、またあいつが。
もう会いたくなんてなかったのに。
ばれただろうか。
でも、化粧もしているし大丈夫だよね。
もう関わり合いたくない。
私の心をかき乱すあいつと、もう・・・。
仕事の時間が終わり、着替えをして出る。
裏口がないから店内を通って帰らないといけない。
「江梨子さん。お疲れ様でした」
「ああ春ちゃん。お疲れ。ありがとねー」
「はい」
江梨子さんにそう告げると逃げるようにその場を立ち去った。
化粧はそのまま。
いつもなら落として帰るけど、今日はあいつがまだいるから。