きっと、君を離さない


「ね、ここでいい?俺ここなら割引券持ってんだよね」

「・・・別に」




割引券・・・。
小っちゃい男。

ゴソゴソと財布を取り出しその割引券を探す男。




「春香ちゃん?」





声がした。
すぐに、誰だかわかってしまう。



私の大っ嫌いなキラキラした世界にいる人だから。





「春香ちゃんだよね?」

「は?なんなのお前」




私の顔を覗き込もうとする悠斗を男が邪魔をする。
なんでこの人は、たった二回会っただけの私に声をかけるんだ。
スルーでもなんでもしたらいいじゃないか。





「君こそ、誰。彼氏?」

「は?なんだっていいだろ。てめーこそ誰だよ」




そして果敢にこの男にまで向かって行く始末。



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