きっと、君を離さない
「家どっち?お家の人心配してるんじゃない?」
ほら。
どこにでも、幸せな家族が待ってるって思ってる能天気な人。
こんな幸せな脳した人に私の気持ちなんてわかるはずがない。
「・・・一人暮らしだから」
「そうなんだ。高校生で偉いね」
「別に」
高校生だから偉いとかおめでたいわね。
私は指で方向を指し歩き出す。
「学校は楽しい?」
「・・・別に」
「友だちいるんでしょ?俺、友だちといたら授業とかつまんなかったけど、楽しかったよ」
「いない」
「いないって、理恵は?友達じゃないの?一緒にサークル来てたじゃん」
悠斗が立ち止まり私を振り返る。
「理恵は・・・。本当の私を知らないから」
「本当の春香ちゃん?」
「こんな、汚い私の事知らないから」
「だから友だちじゃないの?」
悠斗の瞳は少しだけゆらゆらと揺れていた。