きっと、君を離さない
思い出すの。
彼、健太といた日々のことを。
優しく笑う人で、私の苦しみをひょいって救い上げてくれる。
私を、救ってくれた人。
本気で叱ってくれて、本気で、愛してくれた。
彼がいれば、何もいらなかったはずなのに。
その真っ直ぐさが、似ているんだと。
だから、こんなにも、胸が騒ぐんだと。
「俺の話、聞いてよ」
「聞くことなんてっ、・・・・ないの!」
私は静止を振り切って走り出す。
もう、逃げ出したくて。
いつもなら、確認して渡る見通しの悪い路地。
でも、そんな事考える余裕なかったんだ。
ププー!!!
鳴り響くクラクションに足がすくんだ。
突然背中を押され、地面に叩きつけられた私の身体。
後ろで、ドン!と大きな音が聞こえたんだ。