きっと、君を離さない
健太だって。
看護士さんに連れられてあの時だって行ったの。
でも、そこにいたのは冷たくなった健太だった。
私を、置いてくの。
―卒業式、一緒に行こう
もう、卒業式なんて終わったよ。
私が、健太の卒業証書受け取ったんだよ。
両親が、私に持っててほしいって。
私が、今でも持ってるんだよ。
早く、取りに来て。
「春香ちゃん、行こう」
頭の中の記憶と、見えてるものが混ざり合う。
視界が、澱む。
病室の扉を草太が開く。
私たちの姿を見た看護師さんがほほ笑んで頭を下げて出て行った。
ベッドに見えたのは、頭に包帯を巻いた彼が横たわる姿。