きっと、君を離さない
気づけば、誰かが俺の手を握ってる感覚に気づいた。
視線を向ければ、春香ちゃんが俺の手を握って眠っていた。
あれ?
俺は・・・。
「大石、大丈夫か?」
「へ?あ、池内。ああ・・・そっか。ここ、病院か」
病院独特の匂いに気付き、起きたことを思いだした。
それで、春香ちゃんがここにいるんだ。
ぼんやりと思い出す。
「一人にしないで」と泣いた声と。
「一人になんか、するわけないだろ」って言った俺の声。
夢のような、ぼんやりとした記憶。
「池内・・・心配かけてごめん」
「あ、ああ・・・。それはいいけど、その子。理恵が連れてきた子だろ?」
「・・・うん。春香ちゃん」
池内には、春香ちゃんと会ってること言ってなかった。
変に勘ぐられるのも嫌だったし、春香ちゃんの言われたくないことまで言ってしまいそうで。