きっと、君を離さない
「もし、本当に春香ちゃんが何かを抱え込んでるんだったら。なおさら、お前は手を引け」
「・・・なんでだよ!」
「お前が手におえるわけないだろ。お前、一生側にいてやるつもりかよ。菜緒はどうするんだよ。彼女だぞ!」
この手を、離せというの?
でも、もう遅いんだ。
中途半端にも、俺はもう関わってしまった。
知ってしまったから。
この手を、取ってしまったんだから。
全てなくしても。
この手は放したらいけない気がした。
手を放したら、彼女は消えてなくなってしまう気がしたんだ。
「・・・冷静になってちゃんと考えろよ」
「・・・・・・うん」
俺の気持ちは変わらないと思うけど。
もう、決めたんだ。
彼女の閉ざされた心を見てしまったから。
彼女の暗い瞳を見てしまったから。