神様、私は壊れたようです。
制服に着替えて家を出た。
誰もいない家に「行ってきます」と声をかけて。
「千夏ちゃん、おはよう!」
後ろから声がした。
振り返ると、キレイな黒髪を二つ結びにした少女が立っていた。
「おはよ、遥」
そう言うと、照れたようにはにかんだ。
彼女は私の親友の、三上 遥(ミカミ ハルカ)。
まあ親友というか、一方的になつかれているだけ。
整い過ぎたルックスのせいで、中一の頃に女子から嫌がらせを受けていた遥。
しかしそれを知っていて何も怖がらずに遥と接した私に、遥は随分となついた。
別に私自身、遥が可哀想だからとか関係なく、遥にも周りの女子にも興味がなかった。
女子が怖いわけではないから、遥に話しかけられない理由もない。
なんて話しかけたのかは覚えてないが、くだらなくて、どうでもいいことだった気がする。
「そういえば千夏ちゃん、〈連続バラバラ殺人事件〉のニュース見た?」
そういえば言ってなかったけど、遥が言っている「千夏ちゃん」とは私のことだ。
フルネームは安藤 千夏(アンドウ チナツ)。
「見た見た。14人目だってね」
実際は15人目だけど。
一人だけ警察には見つかっていないようだ。
まあ、どうでもいいけど。