お母さん系男子の幼なじみがスキなんです。
「痛々しいね、そのバンソウコウ」
ーーーガタタン ガタタン ガタン
規則正しい音を立てる電車に揺られながら
蒼輔はあたしの膝を指差した。
「あー、これね。
お母さん大ゲサだからこんなおっきなバンソウコウ貼っちゃってさ」
「でも昨日けっこーハデに転んでたよね、ふみ。まだ痛い?」
「ううん、ちょっと痛むけど全然へーき」
膝に貼ってる大きなバンソウコウの原因は、昨日の体育祭のクラス対抗リレーで転んだから。
皆が言うにはハデに転んだから本気で心配した、とのこと。
いやぁ...お恥ずかしい話です。
「それはそうとさ、蒼輔のクラス、対抗リレーで一番だったね〜!蒼輔アンカーだったしびっくりした」
「なんか勝手にアンカーにされてた」
「それは蒼輔が足速いからじゃん、かっこよかったよ〜」
「ふみの応援もあったしね〜膝から血流しながら応援してるからビビったけど」
「迫力あったでしょ」
「ありすぎだよ」
体育祭の話で盛り上がって、
乗り換えしたりして
電車に揺られること30分。
気づけばもう降りる駅に着いていて。
「ふみ、段差気をつけてね?」
「わかってるよもう転ばないもん」
入学式の時、段差があると知らず降りたら見事につまづいて転んだあたし。
いまだに気遣ってくれる蒼輔にまたまたキュンときてしまった。