続犯罪彼女


……どうしよう。
携帯が壊れたら連絡もとれない。彼とも会えない。


「邪魔だ!」

そのショックは、後ろから浴びせられた罵声にも気付かないほど大きなものだった。

「あーあ、かわいそうに」

女の人が私の肩に手を乗せ、同情の言葉をかけてくれた。
その人は壊れてしまった携帯電話を手に持っている。

「……?」

顔を上げた。もちろん知らない人だ。
煩わしいほどの通行人が、美しい顔立ちの女性を避けるような動きでその場から離れていく。

この人は一体何者なのだろうか。

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