続犯罪彼女
「うわ、壊れてるねぇ。
でもまぁこれくらいの故障なら修理出来るんじゃないかな」
「本当ですか?」
その言葉に救われた気持ちになった。
修理したら、彼とも連絡をとることができるようになる。
そんな希望が湧いてきた。
「でも君、この辺の人じゃないよね。いつまでここにいるの?」
「明日の夜、バスで帰るんですけど」
「あー。なら普通の携帯ショップじゃ間に合わないね」
希望を持った分、絶望は大きい。
私はわかりやすく落胆したと思う。
「わかりやすいなぁ。そんなに落ち込まないでよ。
今のはあくまでも普通のショップの話だ」
「普通じゃないショップなんか、あるんですか?」
「いや、ショップでもないんだけどね。
私の知り合いに手先器用な奴いるからさ、そいつに頼んだら今日中には直せると思うよ」
「ぜひ直してください!」
私が食い気味に頼むと、女性は柔らかく微笑んだ。
「ここで会ったのも何かの縁だ。
今日はもう仕事終わったしね。
いいよ、案内してあげる」
私はこの、知り合った親切な女性について行った。
後から考えれば何と怪しげな話なんだと思えるけど、この時は彼と会うことで頭がいっぱいで、他のことは考えられなかったんだ。