続犯罪彼女
「平気だ。
今の仕事だって辞めろと言われれば辞めるし、安全な生活なんて今まで送ったこともねえし。
むしろ辞めたら東京に帰れるから、それもそれでありかもな」

須磨さんは笑った。
私に何も気にするなと伝えたかったのだと思う。その気の遣い方が優しい。大人はやっぱり違うな。

「あの、須磨さん。
もしまたこういうことがあったら、助けてくれますか?」

「ん? ああ、いいけど」

「よかったら、連絡先なるものを頂戴したいのですが」

私の勇気に乾杯。
このまま別れてしまうのはなんだか惜しい気がした。

須磨さんはポケットから携帯を取り出し、アドレスを交換してくれた。


この時に知ったこと。
須磨さんの本名は須磨圭吾というらしい。
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