続犯罪彼女
メールを確認する。
今は午後2時。
待ち合わせは午後3時だった。
「かっぱ公園って、ここから遠いんですか?」
「かっぱ?
ここを出て右に真っ直ぐ行けば左手に見える。時間的には15分くらいかな」
なるほど、時間にはすごく余裕がある。
間違いなく、待たせることなく着くだろう。
「今日は何から何までありがとうございました」
事務所から出る前に感謝を述べた。
こんな言葉じゃ全然足りないほどお世話になってしまったなぁ。
「こっちこそ、楽しいお話を聞けてよかったよ。須磨くんによろしく伝えといて」
「はい!」
女性は微笑み、手を振ってくれた。
「あ、そうだ」
「ん? 忘れ物?」
「最後にお名前伺ってもいいですか?」
女性は少しの間動かずにいた。
が、またすぐに笑みを作り、口を開く。
「そう言えば名乗ってなかったね。
私は千葉ほのか。今さらだけどよろしくね」
千葉ほのかさん。小さく呟く。よし、覚えた。
「本当にありがとうございました」
「いえいえ。
それではよいゴールデンウィークを」
千葉さんにそう言ってもらった後、玄関のドアを閉めた。