続犯罪彼女


「すーちゃんも中々の天然タラシだね。
菜々ちゃん、ほだされてたじゃん」

「言い方悪いな。惚れた、とかでいいだろ」

セイギくんは微妙な表情を浮かべ、返事をしてくれた。

「てか完全に美化し過ぎだよねぇ。
すーちゃんがそんな気を遣えるわけないもん。全部本気だったに決まってる」

仕事に執着はない。本人がそう言っていたのをマスターが聞いたらしい。

私のせいなのかなって一瞬思ったけど、多分それは加害妄想というやつだと思う。

「勘違いとは言え、まさかあの化物に恋する人が現れたなんてね。人生まだまだ捨てたもんじゃないなぁ。面白くて仕方ない」

私は誰に伝えるでもなく、ただ言葉を吐いた。
その言葉に反応したのは、意外にも丸ちゃん。びっくりした。
< 167 / 345 >

この作品をシェア

pagetop