続犯罪彼女
「さっき親切な人に助けてもらったんですよ」
「親切?」
「はい。千……」
千葉さんについて話そうとした時、圭吾さんの後頭部にアルミ缶が飛んできた。痛そう。
「てめえ! 何の用だ!」
声を荒げて、圭吾さんは振り向く。
そこにはにこやかな顔の女性、千葉さんがいた。
「ごめんごめん。ムカつく後頭部があったからつい、ね」
「謝る気ねえだろ」
その軽い口調は圭吾さんの怒りを買ったみたいだ。
圭吾さんは私を放置して千葉さんに近付く。千葉さんは不思議そうな表情を浮かべた。
「あれ。君、ツレは放置してていいの?」
「お前を動けないようにしてから東京観光を楽しんでもらうことにする」
千葉さんは踵を返し走り出した。圭吾さんもその後を追う。
……私を置いて、だ。