続犯罪彼女


「……千葉ぁ」

腕を掴まれた。名を呼ばれる。

声でわかる。触れている手でわかる。

すーちゃんだ。


「また、何か用事?」

「お前何であんなことーーって、どうした? 泣きそうな顔してんじゃねえか」

すーちゃんは不思議そうな顔で私を見てくる。

……泣きそう? なんで?

「泣く意味がないね」

「ならいいけど。
で、だ。何で復讐倶楽部だとか…なんか、わけわからないことしてたんだ?」

「君に言う義理はない」

腕を掴む手に力が込められる。痛い。

「言え」

「言わない」

「言わなきゃ攫うぞ」

「言わないし、それ、犯罪だよ」

「今さら何言ってんだよ」

痛いし、痣にでもなってんだろうな。
そうぼんやりとは考えるけど言わない。

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