続犯罪彼女
「何で言わなきゃならないの?
君はもう私の恋人でもなんでもない。言わなきゃならない理由は?」
「俺はお前のことをちゃんとわかりたい」
すーちゃんは真っ直ぐな目で私を見つめた。
真剣な眼差しと口調。
悪気はないけれど笑ってしまう。
「……なに笑ってんだよ」
すーちゃんは不機嫌そうに言った。
そりゃ、笑いもするよ。
どんな理由があろうと行った事実は変わらない。
どれだけお金がなくても窃盗は罪だし、同情の余地があっても殺人は罪だ。
それなのに、彼は私をわかりたいと言う。
親もいない私のことを、多くの敵がいる私のことを、小学生来の友人にも離れられた私のことを、知りたいと言う。
私には今や多くの敵がいる。
むしろ、この世には敵と仕事上付き合っている相手という二種類しかいない。
そんな中、すーちゃんは私にとっての唯一だった。
私が何をしても、追いかけてきて、捕まえようとする。
どんな嘘を並べようと、邪険に扱おうと変わらない。
私に関わろうとする唯一。
それがすーちゃんだ。
だから多分、さっきは泣きそうになってしまったのだろう。
私の本心は孤独を望んでいないから、すーちゃんが変わらないでいてくれたことが嬉しかった。