続犯罪彼女
「八人全員殺してくれてありがとう、妹よ!
あとはお前を殺せば全てが丸く収まる!」
こんな奴に妹扱いされるのは癪だな。
「トドメも刺してないくせに勝ち名乗り? ちょっと早いんじゃないかな」
埃が喉に入ってきた。少し咳き込む。
「その辺は大丈夫、心配ご無用。
ほら、見てみろ! アメリカで買った……えっと、なんかの銃だ!」
懐から黒い鉛の塊を取り出し、私に向けた。アホ丸出しじゃんか。買うのなら名前くらい覚えたらどうかな。
「そんな銃が何だって言いたいわけ?」
「ペンは剣よりも強し。そしてペンと剣よりも強いのが銃! 故にお前を容易く殺せる!」
バカ笑いする。私は鼻で笑った。
「……鼻で笑うな!」
「ごめんごめん、つい。あんたがあまりにも馬鹿だからさー」
「馬鹿にすんなよ!」
「だって馬鹿なんだもん。仕方ないじゃん」
こんな挑発に乗ってくる。やはり馬鹿だ。
私は立ち上がる。痛いけれど動けないほどじゃない。
「ペンは剣よりも強いかもしれない。そしてペンと剣よりも銃の方が強いのかもしれない。
だけどね、私はそれよりも、もっともっともっと、強いんだよ」
男が何かを叫びながら引き鉄を引いた。私には動物語はわからないから、何を言ったのかもわからない。
発砲音がした。けれど、私には何も当たらない。
私の身体能力をなめないでほしい。
撃つタイミングと弾道さえわかれば、避けるのなんて簡単だ。