続犯罪彼女
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深夜にも関わらず、千葉に呼び出された。
呼び出された場所は廃ビルで、指定の階はなぜか半壊状態だった。
半壊した部屋の中に千葉はいた。
座り込んで何かを考えているようだったが、俺が来たことに気付くと、いつも通り上っ面だけの笑みを浮かべた。
「案外早かったね」
千葉の言葉を無視して状況の把握に努めた。
このフロアには千葉の他に二人の男がいる。
一人はうつ伏せに倒れ、背部に血の染みを作っている。
一人は仰向けに倒れ、顔から血が流れている。
「君にはこいつを外に出してほしい」
千葉はそう言って近くにいた仰向けの男を指差した。
よく見ると胸が上下している。生きているようだ。
「外に出すのか?」
「うん。よろしくね」
千葉は余計なことは無駄に喋るくせに大切なことはあまり言わない。
まあ理由なんてどうでもいいことだ。
俺は千葉に言われた通りにやるだけだから。
ゆっくりと歩く千葉が先に部屋を出た。
どこか痛いのかもしれないと思った。