続犯罪彼女

ーーー


「ねえ、舞ちゃん」

「あ?」

「あとひとつだけお願いを聞いてくれたら君を自由にしてあげる」

「は?」

千葉は走る車窓から外を眺めている。
ガラスに写る千葉は、何の表情も浮かべていなかった。

「すーちゃんが目を覚ましたら、彼を私の前の家に連れてきてほしいんだ」

「事務所の隣か?」

「そう。それが終われば好きに生きていいよ。大輔にはお金払ってるから、好きな顔に変えられる。元に戻してもいいし、新しい顔にしてもいいし」

車を寄せて停車した。
夜も遅い。というか早朝だ。周りに人は全くいない。


「なんで?」

「君の役目が終わったからだよ」

俺の役目が終わったと言う。
それはどういう意味なのだろう。
新しい誰かを見つけたのだろうか。

……そう考えると、嫌に胸がざわついた。
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