続犯罪彼女
「危ないぞ」
「やあ。やっと来たんだね。
長い間待たされたせいで風邪ひいちゃうところだったよ」
会話は噛み合っていない。
それでも千葉は笑った。口角を上げて、いつものように。
「まさかクリスマスに目が覚めるなんてね。サンタさんを信じるべきなのかもねぇ。
で、身体の具合はどうかな?」
「どうもこうもねえよ。今はそんなに痛くねえけど、大変だったらしいな」
「相変わらず回復早いねぇ」
よかった、と千葉は息を吐いた。柵に座ったまま、降りる気配はない。
「どうして俺を呼んだ?」
「話してほしければとりあえずその辺りで止まってくれるかな」
千葉に言われ、立ち止まる。何のためかわからない。
「その怪我は私のせいなんだ」
少しイラっとする。質問に答えろ。
俺の怪我のことなんて質問していない。
「そうイラつかないでよ。物事には順序ってものがあるんだから。
じき、君の質問に答えるよ」
千葉はからかうような口調で言った。