続犯罪彼女

ポツリ。

一滴の水が千葉の顔に落ちてきた。
空は快晴、雨雲すらない。雨ではなさそうだ。

では何だろう、という問いの答えはすぐに出た。


「……すーちゃん?」

見上げた千葉の目には須磨の涙が映った。千葉は彼の涙なんて見たことがなかったから、強く動揺した。

「なんで……」

須磨が口を開いた。

「なんで、俺が悲しむってこと、わからねえんだよ!」

「君は優しいから、私が死んだら悲しんじゃうかもしれない。でも大丈夫、君なら立ち直れるさ」

「違えよ馬鹿が!」

一段と足首を掴む力が強くなった。

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