続犯罪彼女
「あ、そうだ」

不意に立ち止まった千葉さんは振り向いた。

「私は千葉ほのか。この街で情報屋を営んでいる者だ。そこの君も、何かあれば私を頼ってくれていいよ。
……立花美紅ちゃん、かな」

千葉さんはそう言って綺麗に笑った。
そして前を向き直し、再び進んでいく。

名乗ってもいないのに、何故私の名を口にしたのだろう。



「誰があんたなんか頼るかっての……」

人混みに紛れ、千葉さんが見えなくなってから。
二宮さんは憎々しそうにそう呟く。

……ありゃ、よっぽどのことがあったんだろうな。怖い表情。
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