最後の恋の始め方
***


 「え? 男女の友情?」


 脇のテーブルの上に置かれていた携帯電話が、夢中で抱き合っている間に受信していたメールをチェックしていた和仁さんは。


 私からの予期せぬ問いかけに、携帯を再び置いて振り返った。


 「唐突な質問だね」


 腕を伸ばし、私の頬に触れた。


 「まさか……。あの男との今後の展開について、迷い悩んでいたりする?」


 「いえ、そういうわけでは」


 痛い所を突かれて、私は動揺した。


 心の乱れを和仁さんに見抜かれないよう、平静を装った。


 「僕には女友達、いっぱいいるけどね……」


 和仁さんには女友達が多い。


 同業者やスタッフ関係、仕事の依頼側や出版社。


 仕事関係に女性が多いので、自然と交友関係も女性の割合が高い。


 他にも大学の同窓生で、和仁さんと同じく写真方面で活躍している人は女性にも多い。


 電話やメールも女性から頻繁にある。


 気にならなくもないけれど、仕事柄仕方ないって割り切っているので、嫉妬まで至ることは稀。
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