最後の恋の始め方
 クリスマスまであとわずか。


 私は手持ちぶさたに、中心街でウィンドウショッピング。


 自力では手が出せない、高級な靴やバッグをショーウィンドゥ越しに眺めていた。


 和仁さんと一緒の際、こんなふうに物ほしげな眼差しを見せたりしたら、クレジットカードを使って買ってくれようとするので。


 そんな素振りは見せないように気をつけている。


 私のリクエストは大部分受け入れてはくれるけど、いくら相手が経済力のある年上の男性だからって、過度なおねだりは禁物だと戒めていた。


 そういえば、和仁さんへのプレゼントをまだ用意していない。


 無理して背伸びして、身の丈以上のものを用意すると逆に(やんわりと)怒られるし、頃合いが難しい。


 「……」


 高級品ばかりが並んだショーウィンドゥの元を離れ、歩き出そうとしたその時。


 「あれっ、理恵ちゃん」


 男性に呼び止められたので、振り返った。


 白いコートを羽織ったスーツ姿の男の人が、笑顔を見せている。


 「久しぶりだね」


 「・・・山室(やまむろ)先輩!」


 山室先輩は、大学で同学部の一年先輩。


 佑典とも親しかった。
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