最後の恋の始め方
瞬く間に二時間が経過していた。
「順番待ちをしているお客さんがいる。そろそろ出よう」
振り返ると出入り口付近に、待っている客が数組見えた。
ここはかなりの人気店のようだ。
「今日は俺が無理やり理恵ちゃんを連れてきたから、おごりで」
勤務先の銀行が提携しているクレジットカードで、山室さんは支払いを済ませてしまった。
「でも」
「社会人の男が、学生の女の子にワリカンなんてさせられないよ」
そう言って帰りのタクシー代も負担してくれた。
山室さんは中央区の東端に住んでいるらしい。
ちょっと遠回りになるにもかかわらず、私の寮の前に先に寄ってくれた。
「今日はありがとうございました」
「また飲みに行こうね。近々職場にもお邪魔するから」
別れ際にそう言い残して、タクシーは走り去った。
佑典の話題になると罪悪感に包まれるものの、和仁さん以外の男性と二人きりで飲んだのは久しぶりの体験だったので、新鮮さも感じた。
「順番待ちをしているお客さんがいる。そろそろ出よう」
振り返ると出入り口付近に、待っている客が数組見えた。
ここはかなりの人気店のようだ。
「今日は俺が無理やり理恵ちゃんを連れてきたから、おごりで」
勤務先の銀行が提携しているクレジットカードで、山室さんは支払いを済ませてしまった。
「でも」
「社会人の男が、学生の女の子にワリカンなんてさせられないよ」
そう言って帰りのタクシー代も負担してくれた。
山室さんは中央区の東端に住んでいるらしい。
ちょっと遠回りになるにもかかわらず、私の寮の前に先に寄ってくれた。
「今日はありがとうございました」
「また飲みに行こうね。近々職場にもお邪魔するから」
別れ際にそう言い残して、タクシーは走り去った。
佑典の話題になると罪悪感に包まれるものの、和仁さん以外の男性と二人きりで飲んだのは久しぶりの体験だったので、新鮮さも感じた。