最後の恋の始め方
「前の彼女さんとは、高校時代からのお付き合いでしたよね」
「そう。同級生で、高校時代からずっと一緒で。大学に入って遠距離になってからも、向こうは休みのたびに帰省してきたから、その都度会っていたしね」
……大学四年間、遠距離恋愛で想いを紡いで。
卒業と共に彼女は地元に戻ってきたので、それからは楽しい日々が待ち受けていると信じて疑わなかった。
なのに山室さんと彼女は、程なく別れてしまった。
離れているうちに、知らずに溝ができていた……とは説明してくれたけど。
「それからは職場と自宅との往復で、まことに味気ない毎日だよ」
自嘲的に笑いながら、山室さんはケーキの最後の一口を食べ終えた。
「お仕事も忙しいですもんね。毎日夜遅くまで……ご苦労様です」
「入行から半年経ったし、だいぶ慣れてきたけどね。時間も上手く使えるようになってきた」
ホテル一階ロビーの喫茶コーナー。
大きなガラス窓の向こうは、午後の街並み。
雪で覆われた歩道を、大学生と思われるカップルが楽しそうに歩いていた。
それら風景をぼんやりと眺めながら、山室さんはこうつぶやいた。
「理恵ちゃんとこうして会うようになってから、どこか退屈だった毎日が楽しくなってきたような気がするんだ」
「そう。同級生で、高校時代からずっと一緒で。大学に入って遠距離になってからも、向こうは休みのたびに帰省してきたから、その都度会っていたしね」
……大学四年間、遠距離恋愛で想いを紡いで。
卒業と共に彼女は地元に戻ってきたので、それからは楽しい日々が待ち受けていると信じて疑わなかった。
なのに山室さんと彼女は、程なく別れてしまった。
離れているうちに、知らずに溝ができていた……とは説明してくれたけど。
「それからは職場と自宅との往復で、まことに味気ない毎日だよ」
自嘲的に笑いながら、山室さんはケーキの最後の一口を食べ終えた。
「お仕事も忙しいですもんね。毎日夜遅くまで……ご苦労様です」
「入行から半年経ったし、だいぶ慣れてきたけどね。時間も上手く使えるようになってきた」
ホテル一階ロビーの喫茶コーナー。
大きなガラス窓の向こうは、午後の街並み。
雪で覆われた歩道を、大学生と思われるカップルが楽しそうに歩いていた。
それら風景をぼんやりと眺めながら、山室さんはこうつぶやいた。
「理恵ちゃんとこうして会うようになってから、どこか退屈だった毎日が楽しくなってきたような気がするんだ」