波音の回廊
Labyrinth
***
「夢物語、だな」
当主は清廉の企画書を、ぽいっと机の上に戻した。
翌日。
清廉はこの日までに、父である当主に企画書提出を命じられていた。
最近、海岸沿いの防波堤建設に遅れが生じているらしい。
夏の暑さに作業員たちが参ってしまい、効率が低下しているようだ。
「労働時間を短縮するのに加え、診療所を増設……」
清廉は、夏場の灼熱の昼間は作業を停止させ。
なおかつ体調を崩した者たちのために、新たに診療所を建設することを提案した。
今の診療所では、規模が小さすぎたようだ。
「季節労働者のために、そこまで至れり尽くせりする必要があるのか?」
「労働力は、国家の宝です。もっと大事に扱わなくては」
「先刻、清明が提出した企画書では……。労働意欲を向上させるために、小集団に分けて目標を課し、一番早く目標に到達した集団は賃金を増す、という案だった。これは非常に現実的な案だ」
「夢物語、だな」
当主は清廉の企画書を、ぽいっと机の上に戻した。
翌日。
清廉はこの日までに、父である当主に企画書提出を命じられていた。
最近、海岸沿いの防波堤建設に遅れが生じているらしい。
夏の暑さに作業員たちが参ってしまい、効率が低下しているようだ。
「労働時間を短縮するのに加え、診療所を増設……」
清廉は、夏場の灼熱の昼間は作業を停止させ。
なおかつ体調を崩した者たちのために、新たに診療所を建設することを提案した。
今の診療所では、規模が小さすぎたようだ。
「季節労働者のために、そこまで至れり尽くせりする必要があるのか?」
「労働力は、国家の宝です。もっと大事に扱わなくては」
「先刻、清明が提出した企画書では……。労働意欲を向上させるために、小集団に分けて目標を課し、一番早く目標に到達した集団は賃金を増す、という案だった。これは非常に現実的な案だ」