波音の回廊
自分は苦労して、現在の地位を築いた。
なのに苦労知らずの息子は、現実をよく見ず理想論を振りかざして反抗する。
それに対し無性に腹が立って、また息子を叱ってしまい、さらなる反抗を招く……。
「殿。そのような話、あらゆる家庭の父と子の間で、ありふれたものでございます」
「じい……」
「若様もいずれ、当主となったあかつきには、きっと殿が申されていたことを理解してくださると思います。ですが少々、殿は若様に厳しすぎます。時には温かい目で見守って差し上げるのも……」
「あいつを厳しく鍛えねば、清明に申し訳が立たぬ」
「殿?」
「清明は年齢のみならず、能力もむしろ清廉よりも上なのに、側室の子との理由で後継者の座を断念させられた」
「それが世の慣わしですから、仕方のないことです」
なのに苦労知らずの息子は、現実をよく見ず理想論を振りかざして反抗する。
それに対し無性に腹が立って、また息子を叱ってしまい、さらなる反抗を招く……。
「殿。そのような話、あらゆる家庭の父と子の間で、ありふれたものでございます」
「じい……」
「若様もいずれ、当主となったあかつきには、きっと殿が申されていたことを理解してくださると思います。ですが少々、殿は若様に厳しすぎます。時には温かい目で見守って差し上げるのも……」
「あいつを厳しく鍛えねば、清明に申し訳が立たぬ」
「殿?」
「清明は年齢のみならず、能力もむしろ清廉よりも上なのに、側室の子との理由で後継者の座を断念させられた」
「それが世の慣わしですから、仕方のないことです」