波音の回廊
 ……。


 「若様、若様」


 じいが清廉を呼びながら扉を叩くのが聞こえて、私は目を覚ました。


 「……」


 太陽はすでに高く昇っているらしい。


 まばゆい光で、なかなか目を開けなかった。


 上半身を起こすと、隣で清廉がまだ熟睡している。


 太陽の位置から判断して、私たちはどうやら半日以上酔って寝ていたらしい。


 互いにはだけた着物。


 目が覚めてしばらくすると、昨夜の記憶が徐々に蘇ってくる。


 昨夜の未遂事件を思い出すと、頬が赤くなる。


 それより何より、頭が痛い。


 これが二日酔いというものだろうか。


 私は何とか起き上がり、戸を開いてじいに応対した。
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