波音の回廊
(思い出した。私は七重の部屋で七重を恫喝し、刀に手を伸ばすような振る舞いにまで及んだのだった)
では七重が、夫である当主にそれを告げ口して、当主は清廉を非難しているのか。
私も清廉も、その程度の認識だった。
「押し入ったのは事実だ。だがそれは、七重の言動を諌めるためであって、」
「……七重さまは、若様とは違ったことを申しています」
「え?」
「……夜分に若様が七重さまの部屋に押し入り、その……襲われそうになったと」
「は? 襲われそうに?」
「……手ごめにされかけたと、七重さまは殿に申しているのです!」
「何だって!?」
清廉の表情が、見る見る蒼白になっていった。
では七重が、夫である当主にそれを告げ口して、当主は清廉を非難しているのか。
私も清廉も、その程度の認識だった。
「押し入ったのは事実だ。だがそれは、七重の言動を諌めるためであって、」
「……七重さまは、若様とは違ったことを申しています」
「え?」
「……夜分に若様が七重さまの部屋に押し入り、その……襲われそうになったと」
「は? 襲われそうに?」
「……手ごめにされかけたと、七重さまは殿に申しているのです!」
「何だって!?」
清廉の表情が、見る見る蒼白になっていった。