波音の回廊
 ……。


 「好きだ、瑠璃」


 食事を終えた後、南側の窓辺に佇んで星を眺めていた。


 部屋の中からでも、星はかなり見える。


 天頂付近のほうき星も。


 部屋の灯りを暗くして、星がよく見えるようにした。


 「瑠璃の気持ちを聞きたい」


 「私の?」


 「私を好きでいてくれるか」


 私は頷いた。


 「ずっとそばにいてくれるか」


 再度頷いた。


 「当主の嫡男とはいえ、いつどうなるか分からない身の上だ。こんな私と一緒にいても、後悔しないか?」


 「私は……。清廉の身分や地位ではなく、清廉そのものを愛しています」


 ついに口にすることができた。


 「だからこの世の最後の日まで、離さないでください」
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