波音の回廊
Rebellion
(昼なのに、なんて暗い……)
清廉はお堂の小さな窓から、四角い空を見上げていた。
この角度からは、東の空から不気味に昇り始めたほうき星は見えないものの。
薄暗い空と生暖かい風。
何もかもが不吉だった。
(本気を出せば、堂の壁を破ってでも逃げ出してみせるのだけど)
自分が逃亡することによって、私に害が及ぶことを恐れ、清廉はお堂に留まり続けた。
「何とか瑠璃を連れて逃れることができたなら……」
船で島から抜け出そうとも、清廉は思い描いていた。
だけど清廉は、島から外に出たことがない。
海の向こうの世界を知らない。
この島を抜け出したところで、彼に生きる場所などない。
清廉はお堂の小さな窓から、四角い空を見上げていた。
この角度からは、東の空から不気味に昇り始めたほうき星は見えないものの。
薄暗い空と生暖かい風。
何もかもが不吉だった。
(本気を出せば、堂の壁を破ってでも逃げ出してみせるのだけど)
自分が逃亡することによって、私に害が及ぶことを恐れ、清廉はお堂に留まり続けた。
「何とか瑠璃を連れて逃れることができたなら……」
船で島から抜け出そうとも、清廉は思い描いていた。
だけど清廉は、島から外に出たことがない。
海の向こうの世界を知らない。
この島を抜け出したところで、彼に生きる場所などない。