波音の回廊
 「じい!」


 清廉は戸をガタガタ、ガタガタ揺らした。


 それだけでは動かないので、蝋燭台を祭壇から持って来て戸に打ち付けた。


 「若様、合鍵がありますので、今すぐお開けします!」


 「じい……」


 じいは必死で鍵を開けようと試みているが、焦っているせいか手が滑って時間がかかってしまった。


 「そんなに慌てて、何があったんだ?」


 「若様を殺そうと、こちらに向かわれております……」


 「私を殺す?」


 その時、ふと見上げた窓の向こうに、清明の影が過ぎったような気がした。


 戸が開いた。


 と同時に、


 「ぎゃあっ」


 じいの体に、太刀が振るい降ろされた。
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