波音の回廊
 「お前、俺に勝てると思ってるのか」


 清明がじりじりと距離を詰める。


 今日も派手な着物に、全身きらびやかな装飾品。


 間合いを詰めるために、装飾品が触れ合う音が響く。


 殺意のこもったその眼差しは、まるで燃えるよう……。


 「俺は幼いお前の稽古相手だった。だからお前の弱点は全て、見切っている」


 「……」


 一歳年上の清明を相手に、清廉は幼い頃からずっと剣の稽古に励んでいた。


 歳の差もあり、体の大きい清明に清廉は全く歯が立たなかった。


 それに加えて、今。


 清明の真剣に対して、清廉が手にしているのは、小刀。


 最初から勝敗は決しているような状況だった。


 「自害する度胸がないのなら、俺がとどめを刺してやる!」


 そう叫んで清明は、清廉に刃を向けてきた。
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