波音の回廊
 (殺られる……!)


 清廉はもう武器を手にしてはいなかった。


 このままなら清明の太刀を浴び、殺されてしまう。


 とっさに身を守る手段を考えた。


 すぐ側の祭壇に、神の銅像がある。


 それを手にして、清明の攻撃から身を守る盾とした。


 ガシャッ。


 さすがの清明の太刀も、銅像の前には力負けして。


 刃が折れた。


 そしてその一部が跳ね返り、清明の額へと目がけて飛んでいった。


 「あ!」


 刃は清明の額をかすめ、その際きり傷を作った。


 そっとかすっただけなのに、そこからかなりの量の血が流れ始めた。


 「くそっ」


 血が額から流れ、目に入ったようだ。


 視界を塞がれた清明は、思わず太刀を手放してしまった。
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