波音の回廊
Condemnation
***


 一方その頃。


 私はじいの館の離れに身を潜めていた。


 じっとしているよう忠告されていたにもかかわらず、時間が経つにつれて私の不安は増大していった。


 昼間なのに暗い空。


 生温い風。


 東の空からは、恐怖の大王が!


 私は居ても立ってもいられなかった。


 ……どうも外が静かだ。


 人々は昼間でも姿を現した恐怖の大王に怯え、皆室内に引きこもっているのだろうか。


 もしや、これは好機では?


 私は一か八か、抜け出す決心をした。


 お堂の場所はだいたい分かる。


 清廉を助けに行かなければ!


 私は不吉な予感に耐え切れず、言いつけを破って館の外に飛び出してしまった。
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